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社会問題化する硫化水素自殺問題
硫化水素自殺が増えています。今年に入って、4月14日現在までで、27人の人が死にました。

去年は、4人だけなので、明らかに増えています。単純計算すれば、約3ヶ月半で27人ということは、1年で93人程の死者が推定されます。

これはあくまで推計で、硫化水素自殺はこれから減っていくかもしれないし、増えていくかも知れないし、それはわかりません。

ただ、統計的に見れば、年間約3万人の自殺者の1%にも満たないわけですから、人数的にはたいしたことはない、ということが出来ます。

あえて言うならば、残酷な言い方かもしれないけれども、大衆は普通に死んでいく3万人の死者には全く関心を寄せないのです。

しかし、自らの身に危険が及ぶ可能性がある「硫化水素自殺」には関心を寄せるわけです。これは極々当たり前です。

「硫化水素自殺」の「2次被害」の問題は深刻です。現に、自殺の巻き添えで家族を死亡させた事件もありますし、硫化水素中毒になれば、たとえ命はあったとしても、脳障害を残す恐れもあるわけです。大変恐ろしいです。

ここ最近硫化水素自殺が増えている要因としては、一つにマスメディアがこの事件を大きく取り上げている、ということがあります。日本では年間3万人も自殺がおきている、つまり1日80人以上が自殺しているにもかかわらず、そういった自殺の報道はほとんどありません。

これは正当なものです。つまり自殺報道というのは、自殺を誘導しやすい、ということが分かっているからです。だから、マスコミも自殺の報道は控えるのです。

電車の人身事故でもそうです。「自殺」という言葉は明言を避けて、「人身事故」というのは、やはり「自殺」だと報道すると、他の自殺を誘発しやすいからです。

しかし、硫化水素自殺は、報道規制をすることが難しいのです。なぜなら、硫化水素をまき散らすことによって、それが単なる「自殺」ではすまない「事件」になってしまうからです。住民が避難する事態にまで発展した事件を報道しないわけにはいかないのです。

この硫化水素自殺の問題は、単に新たな自殺の手段が提供されただけであって、その背後には年間3万人もの自殺者を生み出されている日本社会の現状があります。そうした日本社会の現状を解決しないことには、硫化水素自殺は減ることはないのです。Amazonで洗剤を買えないようにしたぐらいでは、どうにもならないのです。
by stonelabo | 2008-04-28 02:52 | 社会・時事問題


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